新人営業にAIはどう使わせる?答えは「どんどん使え」です

AI活用術

4月、うちの会社にも新人が入ってきました。営業部に配属された新人を見て、毎年同じ問いに直面します。「ChatGPTみたいなAI、新人にどこまで使わせていいんだろう?」——管理職仲間と話していても、意見はかなり割れます。「新人のうちは自分の頭で考えさせるべき」「いや、最初から使わせて慣れさせた方がいい」——。僕の答えはシンプルです。どんどん使え、です。

僕の方針は「どんどん使え」。理由は成長してほしいから

新人には、初日から伝えています。

「ChatGPT、どんどん使っていいよ。むしろ使わなかったら損だから」と。

エージェント型のAI(自動でいろんな作業をしてくれるタイプ)に関しては、特に制限も指示もせず、「どんどんチャットして使え」と言っています。社内の機密情報の扱いだけは別途ルールを決めていますが、それ以外は基本的に自由です。

なぜか。理由は一つで、早く成長してほしいからです。

新人が一番時間を使うのは、「何を調べたらいいかわからない」「調べ方がわからない」「資料の作り方がわからない」という、いわば入り口の壁で立ち止まってしまうこと。ここでつまずいてる時間は、本人にとっても会社にとってもムダです。AIがあれば、この入り口の壁を一瞬で越えられる。越えた先で、本人が考えるべきこと——お客様の課題は何か、自分はどう提案するか——にちゃんと頭を使ってもらえる。

「手抜きでは?」と聞かれるけど、まったく問題ない

ベテラン社員から、たまに言われます。「それ、新人の手抜きを許すことになりませんか?」と。

僕の答えはこうです。手抜き、まったく問題ない

そもそも「手抜き」って言葉が、ちょっと前時代的だと思っています。電卓があるのにそろばんで計算しろ、Excelがあるのに手書きで集計しろ、と言ってるのと同じです。道具を使って効率化することを「手抜き」と呼ぶなら、その会社は永遠に生産性が上がりません

新人がAIを使って提案書のドラフトを30分で作れたら、その分の時間でお客様のことをもっと深く考える時間が生まれます。お客様の業界の動向を調べる、過去の商談履歴を読み込む、上司に相談する——本来やるべきことに時間を使えるようになる。これって手抜きじゃなくて、生産性の向上です。

逆に、AIを使わずに3時間かけて提案書を作って、お客様のことを考える時間がなくなる方が、よっぽど問題です。

ただし、新人がやらかした2つの失敗談

とはいえ、AIを使えば全部うまくいくわけじゃありません。実際に新人がやらかした失敗例を2つ紹介します。

失敗①「聞き方」で答えが180度変わった話

ある新人が、お客様向けの提案資料を作るためにAIに質問しました。

「製造業のお客様に、業務効率化のソリューションを提案する資料を作って」

出てきた資料は、確かに体裁は整っていました。でも、僕が中身を見て愕然としました。全然、うちのお客様の業界に合っていないんです。

理由を聞いたら、AIは「製造業」と一括りに、自動車・食品・医薬品・繊維……ありとあらゆる業界の話を混ぜて答えていました。一方、うちのお客様は特定の業界に特化したお客様。一般論の資料を持っていっても刺さりません。

正しい聞き方はこうでした。

「◯◯業界の中堅企業向けに、人手不足を背景にした業務効率化提案の資料を作って。お客様は社員数◯◯人規模で、現状こういう課題を抱えている。提案するソリューションは◯◯」

前提を細かく伝えるだけで、出てくる答えのクオリティが180度変わります。AIは魔法の箱じゃなくて、こちらの聞き方しだいで何でも答えてくれる優秀な部下のような存在。ふわっと聞けば、ふわっとした答えしか返ってきません。

失敗②「AIを信じすぎて」誤情報を提案資料に載せた話

もう一つの失敗例。新人が業界の市場規模をAIに調べてもらって、そのまま提案資料に載せたんです。「◯◯市場は2025年に△△億円規模」と。

商談の場で、お客様から指摘されました。「その数字、どこから引用してます?うちの社内データだと違うんですが」と。

社内に戻って調べ直したら、AIが出してきた数字は、根拠不明の古いデータでした。新人は「AIが言ってたから正しいだろう」と思い込んで、出典の確認をしていなかったんです。

これはAIの責任ではなく、使い手の責任です。AIは平気で間違えます。特に、最新の数字や具体的な事実に関しては、堂々と古い情報や不正確な情報を出してくることがあります。

このとき新人に伝えたのはこの一言です。

最後は人間の目で必ずチェックする。AIが出した情報を提案資料に載せるなら、必ず一次情報を当たって裏取りすること」

それでも「使うな」とは言わない理由

この2つの失敗を経験したあと、新人は明らかに変わりました。

聞き方を工夫するようになり、AIの答えを鵜呑みにせず疑うようになりました。これって、AIを使ってこそ得られた学びなんです。「AI禁止」にしていたら、この成長機会自体が生まれなかった。

僕は新人の失敗を歓迎しています。早いうちに小さく失敗しておく方が、後で大きく失敗するより100倍いい。AIを使わせて失敗させて、そこから「聞き方」と「裏取り」を学んでもらう——これが、僕が新人にAIを使わせる本当の狙いです。

まとめ

  • 新人にはAIをどんどん使わせる方針
  • 理由は、入り口の壁を越えて、本来考えるべきことに頭を使ってほしいから
  • 「手抜き」ではなく「生産性の向上」と捉えるべき
  • ただし2つの落とし穴がある
    • 聞き方が雑だと、的外れな答えが返ってくる
    • AIを信じすぎると、誤情報を提案資料に載せてしまう
  • 最後は必ず人間の目でチェック。これが鉄則
  • 失敗させながら学ばせるのが、新人の一番の成長ルート

AIを使わせない管理職が、5年後に部下から「あの上司、時代遅れだった」と言われるか。AIをどんどん使わせる管理職が、5年後に部下から「あの上司のおかげで早く成長できた」と言われるか。僕は後者でありたいと思っています。

山本

この記事を書いた人

山本

BtoBメーカーで法人営業マネージャー(在籍15年超)。NISA初期からの個別株投資家でもあり、コロナショックで人生初の「ショート」を経験。本業も投資も、最近はChatGPTとClaudeをガッツリ使い倒し中。「営業マン × AI × 投資」を、現場のリアルから書いてます。

🏢 BtoB営業マネージャー(15年超) | 📈 個別株NISAホルダー | 🤖 ChatGPT Plus / Claude Pro 両刀

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