正直に告白します。僕は商談前の企業リサーチに、昔はものすごく時間をかけていました。
客先のホームページを開いて、会社概要を読んで、事業内容のページを見て、ニュースリリースを遡って……。1社あたり30分、相手が大きい会社だと1時間。営業はリサーチが命だと思っていたので、これは必要な時間だと信じていました。
でも今は違います。AIに話しかけるだけで、そのリサーチがほぼ終わるようになりました。今日はその話をします。効率の話だけじゃありません。最後に、リサーチのやり方を変えたらお客さんとの距離感まで変わったという、僕にとって一番大きかった変化も書きます。
昔は、商談前にHPを延々と見ていた
商談が決まると、まず客先のホームページを開く。これが僕の長年のルーティンでした。
会社概要、沿革、事業内容、IR情報、採用ページ……。一通り目を通して、頭の中で「この会社はこういう会社だ」という像を作る。間違ったことを言わないように、という防御の意味もありました。
ただ、これが地味に重い。ページを行き来して、必要な情報を拾って、頭の中で整理する。1社30分は当たり前。商談が立て込んでいる日は、このリサーチだけで午前が溶けることもありました。
今は「○○ってどんな会社?決算もわかれば教えて」と投げるだけ
今の僕がやっているのは、これだけです。AIに、こう話しかける。
「○○株式会社ってどんな会社? 決算状況がわかれば教えて」
これで、会社の概要・事業の柱・規模感・直近の業績まで、即座に返ってきます。さっきまで30分かけてHPを行き来していたのが、文字どおり数十秒です。
最初に試したときは、正直「こんなに早くていいのか」と拍子抜けしました。でも返ってくる内容は、自分でHPを読んで整理したものと遜色ない。むしろ要点がきれいにまとまっている分、頭に入りやすいくらいでした。
特に効くのが医療法人。決算書を取りに行く手間が消えた
この効果が一番大きかったのが、医療法人が相手のときです。
医療法人の経営状況を調べようとすると、これがなかなか大変なんです。一般企業のようにIR情報が整っているわけではないので、決算書を取りに行くだけでもひと苦労。役所に出向いたり、資料を取り寄せたり、調べ方を知らないと丸一日かかることもあります。
それが、AIに聞けば経営の概況や規模感の当たりがすぐつく。正直、これだけで30分どころか、調べ方次第では半日分くらいの手間が浮いています。
医療・福祉系の法人を相手にする営業マンは、ここだけでもAIを使う価値があると思います。「調べるのが大変だから後回し」になっていた下調べが、ストレスなく終わります。
本当のおすすめは「最近、力を入れてることある?」と聞くこと
ここからが、僕が一番伝えたい使い方です。
会社概要や決算を聞くのは、いわば守りのリサーチ。これだけでも十分時短になりますが、AIの本当の価値は攻めのリサーチに使ったときに出ます。具体的には、こう聞きます。
「○○株式会社が最近力を入れてることってある? 商談で使えそうなネタがあればリサーチして」
これが、けっこう良い内容を返してくるんです。新規事業、注力している分野、最近のトピック——商談の枕に使える話題が、向こうから出てくる。
自分でHPを眺めているだけだと、こういう「商談ネタ」の視点ではなかなか拾えません。情報は目に入っていても、それが商談に使えるかどうかは別の頭を使う作業だからです。そこをAIに「商談で使える形で」と頼むと、最初から使える状態で出てくる。これは自分でやるのとは別物でした。
一番の変化は、時短じゃなかった。お客さんとの距離感だった
正直に言うと、最初は「時短になって楽だな」くらいの気持ちでした。でも使い続けてみて、もっと大きな変化に気づきました。
お客さんとの距離感が、いい意味で変わったんです。
商談の中で、相手が最近力を入れている分野にさらっと触れる。「御社、最近○○に注力されてますよね」と一言入れる。すると相手の反応が明らかに変わります。「よく調べてくれているな」と感じてもらえる。きちんとリサーチして来た人間として見てもらえると、そこから先の話のしやすさがまるで違うんです。
営業をやっている人なら分かると思いますが、この「ちゃんと調べてきてくれた」という印象は、信頼の入り口です。今まではリサーチに時間がかかりすぎて、ここまで踏み込めない商談もありました。それがAIのおかげで、毎回の商談で当たり前にできるようになった。時短で浮いた30分よりも、この距離感の変化のほうが、僕にとってはずっと価値があります。
ひとつだけ注意。AIの回答は、そのまま商談で使わない
ここまで良いことばかり書きましたが、最後に必ず伝えておきたい注意点があります。
AIが返してきた情報は、鵜呑みにしないこと。商談で口に出す前に、必ず自分で裏を取ってください。
AIは、もっともらしく間違えることがあります。事実と少し違う内容や、古い情報が混じることも珍しくありません。それを確認せずに商談で「御社、○○されてますよね」と言ってしまって、それが間違いだったら——逆効果どころか、信頼を失います。営業にとって、これは事故です。
僕の使い方は、AIで当たりをつけて、要点だけHPやニュースで裏取りするという形です。ゼロから30分かけて調べるのと、AIの回答を5分で確認するのとでは、かかる時間がまるで違う。AIは「調べる」作業を消してくれるのではなく、「調べる時間を10分の1にしてくれる」道具だと思っています。最後に判断するのは、あくまで自分です。
まとめ
- 商談前の企業リサーチは、AIに「○○ってどんな会社?決算もわかれば教えて」と聞くだけでほぼ終わる
- 特に医療法人など、決算情報を取りに行くのが大変な相手で効果が大きい(30分〜半日の時短)
- おすすめは「最近力を入れてること、商談ネタをリサーチして」と攻めのリサーチに使うこと
- 一番の収穫は時短より、“ちゃんと調べてきた”という印象でお客さんとの距離感が変わること
- ただしAIの回答は鵜呑みにせず、商談で使う前に必ず裏を取る
リサーチに時間をかけることが営業の誠実さだと、昔は思っていました。でも今は違います。調べる時間を縮めて、その分をお客さんと向き合う時間に回す。これができるようになったのが、AIを使い始めて一番良かったことかもしれません。
商談前のリサーチに時間を取られている人は、次の1社だけでいいので、AIに「どんな会社?」と聞いてみてください。浮いた時間で何ができるか、きっと実感できます。
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