決算期も一段落して、新しい四半期の提案ラッシュが始まる時期です。
僕の部署でも、この時期は提案書とプレゼン資料の作成依頼が山のように回ってきます。部下から「資料、見てもらえますか」と差し出されるパワポを、毎回赤ペン片手にチェックする——管理職あるあるじゃないでしょうか。
正直に言います。パワポ作りは、AIを使うべき領域の筆頭です。
ここ半年、僕は提案資料の作成にAIをかなり本気で組み込んできました。その結果、自分が作る資料も、部下が作る資料も、明らかに「通る」確率が上がった。今日はその話をします。
パワポ作成こそ、AIに任せるべき理由
結論ファーストでいきます。パワポ作成をAIに任せるべき理由は1つに絞れます。
「考える時間」と「作る時間」が、混ざってしまうからです。
提案資料を作るとき、本来いちばん時間をかけるべきは「何を伝えるか」「どういう順番で説得するか」という中身の設計です。ところが実際は、フォント揃え、図形の整列、配色、アニメーション——こういう「作業」に時間の大半を食われる。
気づいたら夜の22時で、肝心のストーリーは練れていない。そんな経験、誰しもあるはずです。
AIに任せられるのは、まさにこの「作業」の部分です。構成のたたき台、スライドごとの文章、伝わる見出しの言い回し。ここをAIに一気に出させて、僕は「中身の設計」と「最後の判断」に集中する。役割分担がはっきりするんです。
「AIで作ったプレゼンなんて、薄っぺらいのでは?」への回答
こう言うと、必ず返ってくる反論があります。
「AIに作らせた資料なんて、テンプレ的で薄っぺらくなるんじゃないの?」と。
気持ちはわかります。でも、これは使い方が間違っているだけです。
AIは魔法の箱じゃなくて、優秀だけど業界も顧客も知らない新人みたいな存在です。「いい感じの提案書作って」と丸投げすれば、当然いい感じに薄っぺらいものが出てくる。
でも、こちらが顧客の課題、商談で出た生の声、相手の決裁構造——こういう「現場の文脈」をきちんと食わせれば、出力は一気に化けます。むしろ、自分一人では思いつかなかった切り口を提案してくれることすらある。
「AIで作る=手抜き」という発想が、ちょっと前時代的だと思っています。これは手抜きじゃなくて、リソースの最適配分です。作業を圧縮して、人間にしかできない「顧客の心を読む」部分に時間を寄せる。それだけの話です。
実際にどう使っているか——3つの場面
抽象論だけだと伝わらないので、僕が実際にやっている使い方を具体的に書きます。
① 構成のたたき台をAIに丸ごと出させる
提案のゴール、相手の課題、こちらの強みを箇条書きでAIに渡して、「この内容で15分のプレゼン構成を作って」と投げます。
そうすると、スライドの流れ(現状の課題→原因→解決策→導入効果→次のアクション)を一気に出してくれる。これをベースに、僕が順番を入れ替えたり、刺さらないスライドを削ったりする。
ゼロから構成を考えると30分かかるところが、たたき台を直すだけなら5分です。
② スライド1枚分の文章を「削る」方向で使う
これは意外と知られていない使い方ですが、効きます。
自分で書いた冗長なスライド文章をAIに貼って、「このスライドで言いたいことを、20文字以内の見出し1行+箇条書き3つに削って」と頼む。
営業資料の文章って、書いた本人は気づかないけど、だいたい盛りすぎなんです。AIに削らせると、伝えたいことの芯だけが残る。プレゼンは「載せる情報」より「捨てる情報」で決まる、というのが僕の持論です。
③ 失敗談——丸投げして大恥をかいた話
正直に、失敗も書いておきます。
導入したばかりの頃、ある大型案件の提案資料を、ほぼAIの出力そのままで本番に持っていったことがあります。時間がなくて、最終チェックを甘くしたんです。
プレゼン中、顧客から「この数字の根拠は?」と聞かれて、固まりました。AIが「それっぽく」入れた数字を、僕が裏取りせずに載せていた。冷や汗が背中を伝うのを感じながら、「持ち帰って確認します」と頭を下げる羽目になった。
このとき骨身に染みました。最後は人間の目で必ずチェックする。これは鉄則です。特に数字と固有名詞は、AIの出力を一文字も信用しない。AIは作業を速くする道具であって、責任を肩代わりしてくれる存在じゃないんです。
それでもAIを使い続ける理由
あの失敗を経ても、僕がパワポ作成にAIを使うのをやめないのは、ハッキリした理由があります。
道具を使う側のスキルが問われる時代になった、ということです。
電卓が普及しても、暗算が速い人より「何を計算すべきか」がわかる人が評価されたように。パワポ作成も、もう「きれいに作れる人」より「AIに何を作らせるべきか判断できる人」が勝つフェーズに入っています。
部下にもこう言っています。「資料作りの作業時間を自慢するな。空いた時間で顧客のことをどれだけ考えたかを自慢しろ」と。
5年後、部下から「あのとき資料作りを効率化させてもらって、提案の中身に集中できました」と言われるか。それとも「いつまで深夜まで図形いじってたんだろう」と言われるか。僕は前者でありたい。
まとめ
- パワポ作成は「考える時間」と「作る時間」が混ざる。AIで「作る」を圧縮し、「考える」に集中する
- AIへの丸投げは薄っぺらくなる。現場の文脈を食わせれば出力は化ける
- 使い方は3つ——①構成のたたき台 ②文章を削る ③(やってはいけない)無チェックの丸投げ
- 数字と固有名詞だけは、AIの出力を一文字も信用しない。最後は人間の目でチェックする
- これからは「きれいに作れる人」より「何を作らせるか判断できる人」が勝つ
パワポ作りで消耗しているなら、その消耗、ほとんどAIに肩代わりさせられます。空いた時間は、ぜひ顧客のために使ってください。
この記事で触れた、僕が実際に使っているツール
提案資料やプレゼン構成の作成には、文章生成の精度が高いAIを日常的に使っています。本業の営業資料づくりで毎日使うなら、無料版より有料版のほうが圧倒的に作業が速くなります。
あわせて読みたい
- パワポ装飾をCodexとClaude Codeに頼んでみた——デザインで負けても「使えるAI」が勝つ
パワポの「中身」を作ったら、次は「見た目」。AIでデザインを底上げする実験記。 - 議事録、もう手書きで取ってない。iPhoneとAIだけで完結してる話
商談記録もAIに任せる。提案書と合わせて使えば、営業の「作業時間」がまるごと変わる。 - 外回り営業がペーパーレスになって、僕の仕事はここまで変わった
AIで作った提案資料をタブレット1枚で持ち歩く。デジタル化の全体像はこちら。

