AIに「儲かる銘柄」を聞くのはやめた方がいい——僕の高配当株スクリーニング術

AI活用術

「AIに聞けば、儲かる銘柄を教えてくれるんじゃないですか?」

先日、投資を始めたばかりの部下にこう聞かれました。気持ちはわかります。毎日AIを使って提案書や議事録を作っている僕を見ていれば、「株もAIでいけるでしょ」と思うのは自然です。

でも、正直に言います。AIに「おすすめ銘柄」を聞くのは、一番やってはいけない使い方です。

僕は配当目当ての株式投資をやっていて、銘柄選びにAIをがっつり使っています。ただし、使い方はまったく逆——AIに選ばせるのではなく、僕が決めた基準でAIに「ふるい」にかけてもらう。今日はその手順を、実際の数字と一緒に全部公開します。

結論:AIは「銘柄を選ぶ人」ではなく「分析を手伝う部下」

結論はシンプルです。僕にとってのAIは、投資判断をする存在ではなく、決算資料を読んで基準に照らしてくれる、めちゃくちゃ優秀なアシスタントです。

営業の現場と同じなんですよね。部下に「なんかいい提案考えといて」と丸投げしたら、ろくなものは出てきません。でも「この条件で、この顧客向けに、この形式で」と具体的に指示すれば、驚くほどの仕事をしてくれる。

AIも同じです。「儲かる株を教えて」は丸投げの典型で、返ってくるのは誰でも知っている有名銘柄のリストか、もっともらしいだけの一般論です。道具を使う側のスキルが問われる——これは仕事でもAIでも投資でも変わりません。

「AIに全部任せた方が楽では?」という疑問に答える

「基準を自分で決めるくらいなら、AIに最初から最後までやらせた方が効率的では?」と思う人もいるはずです。

僕はそうは考えません。理由は2つあります。

1つ目は、AIは「あなたのお金」に責任を持てないから。

AIの回答は、どれだけ精度が上がっても間違えることがあります。仕事の提案書なら僕がチェックして直せばいい。でも投資は、間違った情報を鵜呑みにして買った瞬間に、自分のお金が減るリスクを負います。最後は人間の目で必ずチェックする——この鉄則は、お金が絡む場面でこそ効いてきます。

2つ目は、基準を自分で決めないと、下がったときに握れないから。

これが本質だと思っています。他人(AI含む)に選んでもらった銘柄は、株価が下がった瞬間に不安になります。「なんでこれを買ったんだっけ?」に自分で答えられないからです。自分の基準で選んだ銘柄なら、下がっても「基準は崩れてない。配当は出る。だから持つ」と判断できる。

僕はコロナショックで大損した経験があるので、ここは譲れません。

僕の実際の手順:スクリーニング基準からAIへの依頼まで

ここからは具体的な話です。僕が配当株を買うときの手順は、大きく3ステップです。

ステップ1:自分の基準を明文化する

まず、僕が銘柄に求める条件です。実際に使っているものをそのまま載せます。

項目 基準
配当利回り 3.5%以上
自己資本比率 50%以上
配当性向 70%以下
連続増配 5期以上
営業キャッシュフロー 赤字なし
PBR 2倍以下

それぞれ理由があります。配当利回り3.5%は「銀行預金の代わりにお金に働いてもらう」ための最低ライン。自己資本比率(会社の総資産のうち、返さなくていい自前のお金の割合)50%以上は、不況が来ても簡単には潰れない体力の証明。配当性向(利益のうち配当に回している割合)70%以下は、無理して配当を出していないかのチェックです。ここが100%近い会社は、業績が少し崩れただけで減配リスクが高まります。

連続増配5期以上は「株主に還元する姿勢が文化として根付いているか」、営業キャッシュフローの赤字なしは「本業でちゃんと現金を稼げているか」、PBR2倍以下は「割高な値段で買わない」ための歯止めです。

ステップ2:Yahoo!ファイナンスで10銘柄程度に絞る

ここが意外と重要なポイントで、いきなりAIに「基準に合う銘柄を全部探して」と頼んではいけません。

東証には約4,000社の上場企業があります。ゼロからAIに探させると、とんでもない量になる上に、AIが古い情報や不正確な数字を混ぜてくるリスクが跳ね上がります。

だから僕は、最初のふるいは自分でかけます。Yahoo!ファイナンスのスクリーニング機能で「配当利回り3.5%以上」「自己資本比率50%以上」あたりの大きな条件だけ入れて検索し、気になる銘柄を10個くらいに絞る。ここまでは5分もかかりません。

ステップ3:絞った10銘柄をAIに分析させる

ここからがAIの出番です。僕が実際に投げている依頼は、だいたいこんな形です。

以下の10銘柄について、次の6つの基準を満たしているか、直近の決算データをもとに1銘柄ずつ表形式で判定してください。
・配当利回り3.5%以上
・自己資本比率50%以上
・配当性向70%以下
・連続増配5期以上
・営業CFに赤字なし
・PBR2倍以下
基準を満たさない項目があれば、その数字と理由を明記してください。

ポイントは、判定基準を全部こちらから渡していることと、「満たさない場合は数字と理由を書け」と指定していることです。これで「なんとなくおすすめです」という曖昧な回答が消えて、○×と根拠だけが返ってきます。10銘柄の決算資料を自分で読み込んだら休日が丸一日潰れますが、AIなら数分です。

そして返ってきた結果を、僕が証券会社のサイトや決算短信で必ず裏取りしてから買うかどうかを決めます。

実例:この手順で買った「上組(9364)」

実際にこのやり方で買った銘柄をひとつ挙げると、港湾物流最大手の上組(9364)です。

Yahoo!ファイナンスのスクリーニングで引っかかり、AIに分析させたところ、6基準を全部クリアしていました。僕が分析した時点で、自己資本比率は70%台——基準の50%どころか、借金がほぼない鉄壁の財務です。配当性向は50%台で無理のない範囲、連続増配は10期以上、PBRも1倍台前半。営業キャッシュフローも安定して黒字でした。

派手さはまったくない銘柄です。SNSで話題になることもほぼない。でも、配当目当ての僕にとっては、地味こそ正義です。港湾物流という「なくならない商売」で現金を稼ぎ、財務が硬く、株主への還元を10年以上続けている。

ちなみにこれは「上組を買え」という話ではありません。僕の基準に合っていたというだけで、あなたの基準では違う結論になるかもしれない。投資は自己責任——これは何度でも書きます。

それでも「最後は自分で決める」を貫く理由

ここまで読んで、「結局AIがやってるのは表の作成では?」と思った人、鋭いです。その通りなんです。

でも、その「表の作成」が投資では一番面倒で、一番サボりたくなる部分なんですよね。決算短信を開いて、数字を拾って、基準と照らす——この地味な作業をサボると、雰囲気で株を買うことになります。僕がコロナショックの時にやった失敗が、まさにそれでした。

AIは魔法の箱じゃなくて、面倒な下調べを絶対にサボらない、真面目な部下のような存在です。判断はしない。でも、判断の材料は完璧に揃えてくれる。

そして材料が揃っているからこそ、株価が下がったときも「基準は崩れていない」と確認して持ち続けられる。選択肢を増やし、根拠を持って動けることが、結局は生存率を上げるんだと思います。

まとめ

  • AIに「おすすめ銘柄」を聞くのはNG。返ってくるのは一般論です
  • 先に自分の基準を明文化する(僕は利回り3.5%以上、自己資本比率50%以上、配当性向70%以下、連続増配5期以上、営業CF赤字なし、PBR2倍以下の6つ)
  • Yahoo!ファイナンスで10銘柄程度まで自分で絞ってから、AIに基準判定を依頼する
  • AIの回答は必ず裏取りする。買う・買わないの判断は自分でする
  • 基準を自分で持っているから、下がったときに握っていられる

AIで投資が「楽になる」のは本当です。ただし楽になるのは分析作業であって、判断の責任まで軽くなるわけじゃない。

5年後、部下に「株どうやって選んでるんですか?」と聞かれたとき、「AIがいいって言ったから」と答える大人にはなりたくないな、と僕は思っています。

※本記事は特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

山本

この記事を書いた人

山本

BtoBメーカーで法人営業マネージャー(在籍15年超)。NISA初期からの個別株投資家でもあり、コロナショックで人生初の「ショート」を経験。本業も投資も、最近はChatGPTとClaudeをガッツリ使い倒し中。「営業マン × AI × 投資」を、現場のリアルから書いてます。

🏢 BtoB営業マネージャー(15年超) | 📈 個別株NISAホルダー | 🤖 ChatGPT Plus / Claude Pro 両刀

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