「AIに指示するのが下手」は思い込み——指示は具体化が9割という話

AI活用術

正直に言います。AIをうまく使えない人の大半は、AIの性能のせいでも、自分のセンスのせいでもありません。指示が抽象的すぎるだけです。

僕は普段、お客さんへのプレゼン資料をAIに整えてもらっています。最初は思ったような仕上がりにならなくて、「やっぱりAIはデザインがわからないんだな」と諦めかけていました。でも違った。悪かったのは僕の指示の方だったんです。

結論はシンプルです。AIへの指示は、抽象語を具体的な基準に翻訳できるかどうかで9割決まります。今日はその話をします。

なぜ「きれいにして」では伝わらないのか

僕が最初にAIに投げていたプロンプトは、こんな感じでした。

文章などは変えずにデザインをきれいにしてほしい お客さんへの提出用なので印刷用に最適な色にして 後から修正しやすいようにして

一見、ちゃんと指示しているように見えます。でも、これでは仕上がりが安定しませんでした。

理由は明確です。「きれい」「最適な色」「修正しやすい」——この3つが、全部あいまいだからです。

考えてみてください。「きれい」って、人によって基準がまるで違いますよね。これを部下に頼んでも、たぶん同じことが起きます。「きれいにまとめといて」と言われた新人が、自分なりに頑張って作ってきたものが、上司のイメージと全然違う。よくある光景です。

AIも同じです。AIは魔法の箱じゃなくて、指示の解像度をそのまま映す鏡のような存在です。こちらがぼんやり言えば、ぼんやりした答えしか返ってきません。

「具体的に指示するなんて、自分でやった方が早い」への回答

こう言うと、必ず返ってくる反論があります。

「そんなに細かく指示を書くなら、自分でデザインした方が早いんじゃないか?」

気持ちはわかります。でも、これは順番が逆です。

具体的な指示は、一度言語化すれば使い回せる資産になります。自分でデザインするのは、毎回ゼロからの手作業です。一方、良いプロンプトは一度作れば、次の資料でもその次の資料でも同じクオリティで使えます。

しかも、指示を言語化する過程で「自分は何を良いと思っているのか」がはっきりします。これは部下に仕事を任せるときにも効いてくる。「きれいにして」としか言えない人は、人にも仕事を振れません。具体化する力は、AIを使うためだけのスキルじゃないんです。

抽象語を具体に翻訳する——実際にやってみた

では、さっきの曖昧なプロンプトを、どう具体化したか。実際に整理したのがこれです。

このパワポのデザインを整えてください。条件は以下の通りです。

【変えないでほしいこと】
・本文・見出しの文言は一切変更しない
・スライドの構成・順番・枚数も変えない

【デザイン】
・配色は印刷時に見やすいものにする(CMYK印刷を想定し、
  蛍光色・極端に薄い色・背景と近い文字色は避ける)
・フォントサイズと余白を揃えて、全スライドで統一感を出す
・図形やテキストボックスの位置を揃える(左揃え・中央揃えを徹底)

【後工程の都合】
・テキストは画像化せず、編集可能なテキストボックスのまま残す
・配色はテーマカラー(スライドマスター)で管理し、
  個別スライドに直接色を指定しない
・フォントは標準搭載のもの(游ゴシック等)に統一する

何をやったか、3つに分けて説明します。

「きれい」を「揃える」に置き換えた

デザインの素人がやりがちな崩れは、たいてい「揃ってない」ことが原因です。色・サイズ・位置がバラバラだと、それだけで素人っぽく見える。

逆に言えば、揃えるだけで見栄えは一段上がります。だから「きれいにして」ではなく「サイズと余白と位置を揃えて」と指示する。これなら判断の余地がありません。

「印刷用に最適な色」を、避けるべき色で指定した

印刷は、画面の発色とは変わります。蛍光色がくすんだり、薄いグレーが飛んで見えなくなったり。だから「最適な色にして」ではなく、「蛍光色・薄すぎる色・背景に近い文字色を避けて」と、NGを具体的に挙げました。

「CMYK印刷を想定」という一言も入れています。これでAIが「画面用じゃなくて印刷用なんだな」と前提を理解してくれます。

「修正しやすく」を3つの落とし穴に分解した

ここが一番ぼやけていました。「修正しやすい」が何を意味するか、自分でも言語化できていなかったんです。

整理すると、資料が「修正しにくくなる」典型は3つでした。

  • テキストを画像にされると、後から文言を直せない
  • 色をスライドごとに直打ちされると、一括で変えられない
  • 特殊フォントを使われると、他のPCで開いたときに崩れる

この3つを「やらないで」と指示すれば、修正しやすさは確保できます。曖昧な言葉を、具体的な禁止事項に翻訳したわけです。

大事なのは「自分の言葉で説明できる」こと

僕がプロンプトを整理するとき、一番こだわっているのは、なぜそう指示したのかを自分の言葉で説明できる状態にしておくことです。

コピペしたプロンプトをそのまま使っても、応用が効きません。「なぜ蛍光色を避けるのか」「なぜテーマカラーで管理させるのか」を理解していれば、別の資料でも、別のツールでも、自分で指示を組み立てられます。

これはAIに限った話じゃない。結局、道具を使いこなせるかどうかは、使う側の言語化能力にかかっているんです。AIが進化しても、ここだけは人間の仕事として残り続けると僕は思っています。

まとめ

  • 「AIに指示するのが下手」なのではなく、指示が抽象的すぎるだけのことが多い
  • 「きれい」「最適」「やりやすく」——曖昧な言葉は、具体的な基準に翻訳する
  • 良いプロンプトは一度作れば使い回せる資産になる
  • 具体化する力は、AIだけでなく部下に仕事を振るときにも効く
  • コピペで終わらせず、なぜそう指示したかを自分の言葉で説明できる状態にする

AIは、こちらの指示の解像度をそのまま返してきます。だったら、磨くべきは指示の方です。明日の資料作りから、「きれいにして」を一回だけ、具体的な言葉に書き換えてみてください。返ってくるものが変わります。

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山本

この記事を書いた人

山本

BtoBメーカーで法人営業マネージャー(在籍15年超)。NISA初期からの個別株投資家でもあり、コロナショックで人生初の「ショート」を経験。本業も投資も、最近はChatGPTとClaudeをガッツリ使い倒し中。「営業マン × AI × 投資」を、現場のリアルから書いてます。

🏢 BtoB営業マネージャー(15年超) | 📈 個別株NISAホルダー | 🤖 ChatGPT Plus / Claude Pro 両刀

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